幸せの花が咲く町で




「なに?あんた、それだけしか食べないの?」

「うん。」

まるで夕食のような量の朝食……僕に食べきれるはずはない。



「……優一、とりあえず、今日は病院に行こうか。」

「え……」

「だから……」

「行かない!
そ、そんなところ、行く必要なんてない!!」

急に感情が昂ぶり、僕が立ち上がり大きな声を上げたせいで、小太郎がびっくりして泣き出した。



「ご…ごめん。」

「こた、びっくりした?何もないない。
大丈夫、大丈夫!」

なっちゃんが、小太郎に頬擦りしながら抱きしめてなだめた。



「よっしゃ、わかった!
じゃあ、今日はぱーっとどっか遊びに行く?」

僕はゆっくりと首を振る。
悪いとは思ったけど、そんな気分ではなかったから。



「じゃあ……みんなでだらだら過ごそうか?」

「え……?」



その日は、本当に僕らはずっと家にいて、テレビを見たり、本を読んだり、ごく自由な時を過ごした。
それにしても、やけに散らかった部屋だ。
寝室もほとんど足の踏み場がない状況だったけど、リビングもかなりのものだ。
僕の部屋も最近は酷い有様だったけど、ここはそれを上回っている。
なっちゃんは、昔から確かに片付けは苦手だったけど、それにしても酷すぎる。



「なっちゃん…亮介さんは?」

「うん、まぁ、いろいろね。」


なっちゃんらしくない曖昧な返事……
この前からおかしいとは思ってた。
両親の葬儀には来たけれど、その後の法事の時には仕事で出張してるとかで来なかった。
詳しく聞いてみたい気もしたけれど、小太郎もいることだし、また別の機会にしようと思った。



「なっちゃん……今、仕事してるって言ってなかった?
行かなくて良いの?」

「いいの。当分休むって連絡しといたから。」

「えっ…当分って……」

「あんたは心配しなくて良いの!
そんなことより、お腹すかない?」

「え…あ、ま、まぁ……」

「じゃあ、なにか取ろうか。
えーっと、でも、どこに電話したら……」

「ピザならこのへんにもあるんじゃない?」


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