幸せの花が咲く町で




「遅くなりました!」

「あらあら…そんなに急がなくて良かったのに……」

走って帰ったから息があがっていたせいか、オーナーの奥様がそう言って、微笑まれた。



「おく……千春さん!大変なことがわかったんです!」

奥様には、常々、名前で呼んでって言われてるから慌てて言い直し、そして、私はあのお客様のことを話した。







「……まぁ…なんてこと……」

奥様は、そう呟いて口元を押さえられた。



「信じられないわ。
あんなにお元気だったあの方が……」

「私もびっくりしました。
小太郎ちゃんが、さっき、仏様のお花もいるって言うので持って行って、それを活けようと思ったら、仏壇にあのお客様とご主人のお写真があって……」

「そうだったの……
あのお客様が、篠宮さんに会いたがってらっしゃったのかもしれないわね。
あなた、あのお客様とよく気が合ってたものね……」

「千春さん……」



奥様もそのうちお参りに行きたいと言い出され、堤さんのご都合を聞いてほしいとのことだった。









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