幸せの花が咲く町で
「夏美さん……?」
「実はね……優一は、両親が死んだのを自分のせいみたいに感じてるんだ。」
「ご自分の…?
なぜ、そんな風に……?」
「あの日……優一はここに初めて来ることになった。
当時の優一は仕事が忙しくて、両親がここを買ってからもなかなかここに来られなかったんだ。
で、やっと、来られることになって……
母さん達、久しぶりに優一と会うのが嬉しくて、駅まで迎えに行ったんだよ。
その時……あの事故は起こった。
……二人は、優一の見てる前で事故に遭ったんだ……だから…優一は、二人が死んだのを自分のせいみたいに思ってる。」
胸が詰まり、なんと言って良いのかもわからず、私はただ夏美さんを見つめることしか出来なかった。
自分の愛する家族が……
しかも、自分を迎えに来た家族が、目の前ではねられるなんて……
なんて酷いこと……考えただけでも背筋が寒くなった。
ずっと昔……
私がまだ小さかった頃……
母さんが車にはねられたって電話が入って、病院に着いたら、普段は滅多に泣くことのないお姉ちゃんがわんわん泣いていて……
手術が済むまでの間、お姉ちゃんと二人で泣きながらずっと祈ってた。
どうか母さんが助かりますように…って。
あの時の心細い気持ちは、今でもしっかり覚えてる……
夏美さんの旦那様は、それどころか目の前で事故を見て……
そう思った時……
私はあることに気付いた。
(そうだ……!
お姉ちゃんも、目の前で……)
今までどうして気付かなかったんだろう。
あの時、お姉ちゃんはお母さんと一緒にお通夜に行ってたんだから、お姉ちゃんは事故をすぐ傍で目撃したはずだ。
いくら子供の時のことだったとはいえ、大きくなってからもそのことに少しも気付いていなかった自分に無性に腹が立った。
出て行く前のお姉ちゃんは酷く荒れてたし、そんなお姉ちゃんのことが私は怖かったし、嫌いにもなっていた。
でも、一番多感な頃に事故を目撃し、そのことを誰にも癒されないまま、家の中がどんどん無茶苦茶になっていったら……グレるのも当然だ。
最近ではもう思い出すこともあまりなくなっていた姉のことが急に気に掛かり……
申し訳ない気持ちで、心の中が埋め尽くされた。
「実はね……優一は、両親が死んだのを自分のせいみたいに感じてるんだ。」
「ご自分の…?
なぜ、そんな風に……?」
「あの日……優一はここに初めて来ることになった。
当時の優一は仕事が忙しくて、両親がここを買ってからもなかなかここに来られなかったんだ。
で、やっと、来られることになって……
母さん達、久しぶりに優一と会うのが嬉しくて、駅まで迎えに行ったんだよ。
その時……あの事故は起こった。
……二人は、優一の見てる前で事故に遭ったんだ……だから…優一は、二人が死んだのを自分のせいみたいに思ってる。」
胸が詰まり、なんと言って良いのかもわからず、私はただ夏美さんを見つめることしか出来なかった。
自分の愛する家族が……
しかも、自分を迎えに来た家族が、目の前ではねられるなんて……
なんて酷いこと……考えただけでも背筋が寒くなった。
ずっと昔……
私がまだ小さかった頃……
母さんが車にはねられたって電話が入って、病院に着いたら、普段は滅多に泣くことのないお姉ちゃんがわんわん泣いていて……
手術が済むまでの間、お姉ちゃんと二人で泣きながらずっと祈ってた。
どうか母さんが助かりますように…って。
あの時の心細い気持ちは、今でもしっかり覚えてる……
夏美さんの旦那様は、それどころか目の前で事故を見て……
そう思った時……
私はあることに気付いた。
(そうだ……!
お姉ちゃんも、目の前で……)
今までどうして気付かなかったんだろう。
あの時、お姉ちゃんはお母さんと一緒にお通夜に行ってたんだから、お姉ちゃんは事故をすぐ傍で目撃したはずだ。
いくら子供の時のことだったとはいえ、大きくなってからもそのことに少しも気付いていなかった自分に無性に腹が立った。
出て行く前のお姉ちゃんは酷く荒れてたし、そんなお姉ちゃんのことが私は怖かったし、嫌いにもなっていた。
でも、一番多感な頃に事故を目撃し、そのことを誰にも癒されないまま、家の中がどんどん無茶苦茶になっていったら……グレるのも当然だ。
最近ではもう思い出すこともあまりなくなっていた姉のことが急に気に掛かり……
申し訳ない気持ちで、心の中が埋め尽くされた。