幸せの花が咲く町で




ソファーに腰掛け、僕は今までほとんど使わなかったスマホを取り出し、その画面をじっと見ていた。
すぐ隣には小太郎がいて、お気に入りのゴーヤーマンのDVDを見ている。



そういえば、スマホの番号を教えたのは、篠宮さんが初めてだ。
番号を知ってるのはなっちゃんだけ。
そのなっちゃんも滅多にかけてくることはなく、僕も特に用事はないから滅多にかけないし、調べ物をする時にたまにネットを使うくらいのものだ。



「パパ、お買い物は?」

「う~ん……もうちょっとだけ待ってみような。」

そう言った途端、聞きなれない音が鳴り響いた。



「わっ!びっくりした。
メール?」

「そうみたいだな。」

開いたメールは見知らぬメアドだったけど、それが篠宮さんからだということはすぐにわかった。
「flowershop-k@……」というメアドだったし、タイトルが「篠宮です」だったから。
きっと、自分のメアドは知られたくないから、お店の携帯でも使ってるんだろう。
仕方がない。
彼女は既婚者なんだから……



メールには、今、ちょっと時間があるので、よかったらスーパーに行きませんか?ということが書かれていた。
なかなかメニューが決められないので、スーパーに行って食材を見てから決めたいとのこと。
僕はすぐにOKの返信をして、出かける準備をしていると、玄関のチャイムが鳴り響いた。
< 155 / 308 >

この作品をシェア

pagetop