幸せの花が咲く町で




「それでね、翔君とね、ゴーヤーマンを一緒に見たんだ~」

「そっか~、良かったじゃない。」



次の日の朝、小太郎は昨日翔君が家に来た時の話をなっちゃんに話していた。
なっちゃんは昨夜も帰りが遅く、小太郎はすでに眠っていたため、目が覚めると途端に話したくてたまらなかったことが噴き出したようだ。



「それでね、翔君のママが今度はうちにも遊びに来てって言ったよ。
だから、遊びに行っても良い?」

「う~ん……そういうことはパパに聞いて。
パパが良いって言ったら良いと思うよ。」

昨夜もそのことは少し話した。
その時もなっちゃんは、あんたに任せるって言っただけだった。



「パパ、行っても良い?」

翔君が遊びに来て…小太郎が遊びに行って……
そういうことを続けていたら、翔君ママとも今以上に親しくなることになって、それから、翔君ママの友達ともだんだん親しくなっていくことになるかもしれない。
それを考えると、やはり気は重い。
だけど、小太郎には今まで寂しい想いをさせて来た。
家に遊びに行くことくらい、誰でもやってることなのに、今まではそれをさせなかった。
それを考えると、とても申し訳ない気がする。



「……わかったよ。
でも、うるさくしたり暴れたりしちゃだめだぞ。
おりこうにしとかなきゃだめだぞ。」

「うん、わかった!うるさくしない!
じゃあ、行っても良い?」

僕が頷くと、小太郎はバンザイをしながら飛び跳ねた。



(そんなに嬉しいのか……)



小太郎の様子を見ていると、今までのことがますます申し訳なく思えた。



< 182 / 308 >

この作品をシェア

pagetop