幸せの花が咲く町で

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「かーちゃん！」

「あ、サトシ君……どうかしたの？」

サトシ君の顔はどこかいつもより元気がないように見えた。
サトシ君は店の前に自転車を停め、私の傍に近付いた。



「ママは？」

「なにかお買い物があるって、ついさっき出ていかれたわよ。
しばらく奥で待ってたら？」

「そう……実はね、今、パパがおじいちゃんの所に行ってるんだ。」

「おじいちゃんの…？
おじいちゃんがどうかなさったの？」

サトシ君はゆっくりと首を振る。



「そうじゃなくて……
おじさんが倒れたらしいんだ。」

「おじさまって、一緒に暮らされてる……？」

「うん。満おじさん。」

オーナーのご実家は、花農家をされていて、オーナーのご両親はご高齢ながら今も元気で働かれてるとのこと。
確か、何年か前にオーナーのお兄様が田舎に帰られて、今は一緒に花作りをされていると聞いた。



「命に別状はないって言ってたけど、手術して今もまだ入院してるんだって。」

「そっか～…そうだったの。それは大変ね。」

ここ二日程、奥様の様子がなんとなくいつもと違う感じがしたのはそのせいだったのかと、ようやく腑に落ちた。



「おじさんは、元々腰が悪かったんだって。
それが仕事のせいでますます悪化したみたい。」

「そうなの……
早く良くなられると良いわね。
あ、サトシ君！帰って来られたわよ！」

「え？あ、ママー！」

サトシ君は大きく手を振り、奥様の方へ駆け出した。