幸せの花が咲く町で

「とにかく、まぁそういうことだから……
堤さんとのお付き合いは、ご夫婦絡みにしなさいね。
誤解を招くようなことはしないに限るわ。」

「……はい。」



「申し訳ありませんでした」とは言わなかった。
本当なら言うべきなのかもしれないけれど、どうしても言いたくなかった。
私は翔君ママが思ってるようなことは何もしてないんだから。



（当たり前だ……
私みたいな女……堤さんが相手になんてするはずがない。
堤さんだけじゃない。
私にそんなちょっかいをかけてくるような人なんて、この世には一人もいないわ……）

悲しいことだけど、そんなことはわかってる。
週に一度、堤さんと花を活けたり、料理をしたり……
そんな楽しみを持つことが、そんなに悪いことなのかしら？



それにしても一体どういうつもりなんだろう？
わざわざお店に文句を言いに来るなんて……
私の何がそんなに気に障ったっていうんだろう？



（もしかして、堤さんにも何か！？）



悔しくて、気になって仕方なかったけど、堤さんにメールして訊いて、もしなにもなければ却って心配をかけてしまうかもしれない。
だから、待つことにした。
堤さんからなにか連絡があるまで……もしくはどこかで偶然お会いするのを……