幸せの花が咲く町で
◆優一

でっかいピザ





「お金は、ポシェットに3000円程入れておきましたので、ほしいものがあったらその範囲内で買わせて下さい。
帰りは、ご連絡いただいたらすぐに迎えに参ります。
どうぞよろしくお願いします。」

「は、はい。
あ、あの……堤さん……」

「はい、何か?」

「えっと……あの……」

翔君ママは何かを言いかけたものの、なかなかそれを話さない。



「ママー!早く行こうよ!
今日もでっかいピザ買おうよ!」

「はいはい。わかったわかった。
では、堤さん……帰って来たら連絡しますね。」

「よろしくお願いします。」

翔君ママはそれ以上、何も言わなかった。
さっき言いかけたのは、特に大切な用ではなかったようだ。
翔君達は、隣町までバスで行くらしく、小太郎はそのことも楽しみにしているようだった。



(これからも大変そうだなぁ……)



恐れていたことが現実になってきていた。
これからもきっと翔君ママは、僕らをいろんな所に誘って来るだろう。
翔君ママは他の園児のママさん達とも親しいから、そのうちに、そういう友達を交えて、なにかに誘われるかもしれない。
それは、長い間、自分の殻に閉じこもってた僕にとってはリハビリになるのかもしれないけれど、もう少しだけ時間がほしい。
もう少しゆっくりとしたペースで進んで行きたいと思うのは、やはり僕の甘えなんだろうか?
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