幸せの花が咲く町で




「……なんだ、これ。」

「すごいでしょう?
でっかいものがいーーーっぱい売ってたよ!」

小太郎が買って来たのは、大きさに圧倒される四角いピザだった。
大きいのに、値段は思ったよりもずっと安い。
見た目にはよくわからないものの、きっとあまりおいしくはないんじゃないかと思われた。



「でも、小太郎……
三人じゃ、こんなに食べきれないぞ。
それより、オーブンや冷蔵庫にも入りきらないぞ。」

小太郎はその大きなピザを二枚も買っていた。



「大丈夫だよ。
これは小さく切って冷凍しとくと良いんだって。
僕、こないだこれ食べたけど、すっごく美味しかったんだ。」

「ふぅ~ん……」

小太郎が気に入ってるということは、子供向けの味なのか?



「今、食べてみたら?
僕もちょっと食べる!」

僕は小太郎に言われるままに、ピザを小さく切り、そのうちの何枚かをオーブンで焼いた。



小太郎が帰って来たのは、思ってたよりも遅い時間だった。
翔君の家に送って行ってから、三時間程が経っていた。
迎えに行くつもりだったのに、翔君ママは小太郎をうちまで送って来てくれた。
ありがたい反面、借りを作ってしまったようで、どこか複雑な気分だった。







「本当だ。おいしいな、これ。」

「そうでしょう?
きっと、ママも大好きだと思うよ。」

ピザは、値段からは想像出来ない程、とてもおいしかった。



「ものすごくでっかいケーキもあったよ!
翔君は、お誕生日の時に買ったことがあるんだって。
僕も、今度はあれが良いなぁ……」

小太郎は大型スーパーがとても気に入ったようで、ピザを食べながらずっとその話をしていた。
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