幸せの花が咲く町で
(なんて失礼な子……!)
子供の言ったことなのに、お腹の底から怒りが込み上げた。
「パパ、おねぇって何?」
小太郎ちゃんが無邪気な顔で、堤さんに質問したのを聞いた途端……
「小太郎ちゃん!パパはおねぇなんかじゃないわよ!
パパは優しくてなんでも出来る素晴らしい人よ!」
私は自分でも驚くほど、大きな声でそう言っていた。
私は花を抱えたまま、小太郎ちゃんの傍へ歩いた。
「小太郎ちゃん……他の家族となにかがちょっとくらい違ってもそんなことはなんでもないことなの。
小太郎ちゃんのお家では、パパがお家のことをちゃんとやってくれるから、ママは一生懸命お仕事が出来るんだし、それで良いのよ。」
「うん、わかってるよ。
ママはお掃除や料理が嫌いなんだ。
だから、前のおうちは狭くてすっごく汚かったんだ。
僕、今の方がずっと気に入ってるよ。」
なんて良い子なんだろう……
私は、嬉しくて思わず小太郎ちゃんを抱きしめたくなってしまった。
花を抱えてなかったら、きっとそうしてたと思う。
*
「ありがとうございます。
お母さん、早く良くなられると良いですね。」
「あ、ありがとうございます。」
花をお渡しし、堤さんと小太郎ちゃんの後ろ姿を見ていたら、本当に泣きそうな気持ちになって来た。
私に本当に出来るんだろうか?
堤さんを諦めることが……
でも、どんなに苦しくても、諦めざるを得ない。
堤さんは、私には手の届かない人……
この想いは絶対に誰にも言っちゃいけないことなんだから……
子供の言ったことなのに、お腹の底から怒りが込み上げた。
「パパ、おねぇって何?」
小太郎ちゃんが無邪気な顔で、堤さんに質問したのを聞いた途端……
「小太郎ちゃん!パパはおねぇなんかじゃないわよ!
パパは優しくてなんでも出来る素晴らしい人よ!」
私は自分でも驚くほど、大きな声でそう言っていた。
私は花を抱えたまま、小太郎ちゃんの傍へ歩いた。
「小太郎ちゃん……他の家族となにかがちょっとくらい違ってもそんなことはなんでもないことなの。
小太郎ちゃんのお家では、パパがお家のことをちゃんとやってくれるから、ママは一生懸命お仕事が出来るんだし、それで良いのよ。」
「うん、わかってるよ。
ママはお掃除や料理が嫌いなんだ。
だから、前のおうちは狭くてすっごく汚かったんだ。
僕、今の方がずっと気に入ってるよ。」
なんて良い子なんだろう……
私は、嬉しくて思わず小太郎ちゃんを抱きしめたくなってしまった。
花を抱えてなかったら、きっとそうしてたと思う。
*
「ありがとうございます。
お母さん、早く良くなられると良いですね。」
「あ、ありがとうございます。」
花をお渡しし、堤さんと小太郎ちゃんの後ろ姿を見ていたら、本当に泣きそうな気持ちになって来た。
私に本当に出来るんだろうか?
堤さんを諦めることが……
でも、どんなに苦しくても、諦めざるを得ない。
堤さんは、私には手の届かない人……
この想いは絶対に誰にも言っちゃいけないことなんだから……