幸せの花が咲く町で
*
(寂しい……)
いつもなら一番楽しみだった水曜日が、一番つまらない日に変わった。
家にいても、何もする気がしない。
かといって、出かけていって堤さんに偶然会ってしまってもまずいから出ていくことも出来ない。
散らかった部屋を片付けるとか、家の中にもやるべきことはたくさんあるのだけれど、そう言うことは何かのきっかけでもない限り、なかなか手をつけられないものだ。
だから、私は狭くて汚い部屋の万年床に横になり、そこらにあった漫画の本に手を伸ばした。
(……そういえば、小太郎ちゃんも言ってたな……
前の家は狭くて汚かったって……
ってことは、以前は堤さんも働かれてて、夏美さんが家事をされてたのかな?
もしくは共働き?)
私の目は漫画本に向けられてはいたけれど、それらは全部頭の中を素通りし、想いは堤さんの元へ飛んでいた。
(いつもなら、一緒に花を活けて……それから三人でスーパーに行って……
堤さんとお料理を作って、それを三人で食べて……)
まるで家族みたいで……
現実はそうじゃないってわかっていても、それでも幸せでたまらない時間だった。
なのに、翔君ママのせいで、すべては終わってしまった。
「香織……今日は出かけないのかい?」
ふすまの向こう側から母さんの声が聞こえた。
「う、うん、今日はなにか用事があるんだって。」
「そうかい。
じゃあ、あんたも久しぶりにゆっくり出来るね。」
ゆっくりなんてしたくないのに……
だけどそんなことは言えない。
眠ろうと思ってもさすがに眠れず、かといって起きていたら、堤さんのことばかり考えてしまう。
(よし!掃除でもしよう!)
本当はしたくなかったけど、それしかすることがなかったから……
私は起き上がり、部屋の掃除を始めた。
(寂しい……)
いつもなら一番楽しみだった水曜日が、一番つまらない日に変わった。
家にいても、何もする気がしない。
かといって、出かけていって堤さんに偶然会ってしまってもまずいから出ていくことも出来ない。
散らかった部屋を片付けるとか、家の中にもやるべきことはたくさんあるのだけれど、そう言うことは何かのきっかけでもない限り、なかなか手をつけられないものだ。
だから、私は狭くて汚い部屋の万年床に横になり、そこらにあった漫画の本に手を伸ばした。
(……そういえば、小太郎ちゃんも言ってたな……
前の家は狭くて汚かったって……
ってことは、以前は堤さんも働かれてて、夏美さんが家事をされてたのかな?
もしくは共働き?)
私の目は漫画本に向けられてはいたけれど、それらは全部頭の中を素通りし、想いは堤さんの元へ飛んでいた。
(いつもなら、一緒に花を活けて……それから三人でスーパーに行って……
堤さんとお料理を作って、それを三人で食べて……)
まるで家族みたいで……
現実はそうじゃないってわかっていても、それでも幸せでたまらない時間だった。
なのに、翔君ママのせいで、すべては終わってしまった。
「香織……今日は出かけないのかい?」
ふすまの向こう側から母さんの声が聞こえた。
「う、うん、今日はなにか用事があるんだって。」
「そうかい。
じゃあ、あんたも久しぶりにゆっくり出来るね。」
ゆっくりなんてしたくないのに……
だけどそんなことは言えない。
眠ろうと思ってもさすがに眠れず、かといって起きていたら、堤さんのことばかり考えてしまう。
(よし!掃除でもしよう!)
本当はしたくなかったけど、それしかすることがなかったから……
私は起き上がり、部屋の掃除を始めた。