幸せの花が咲く町で




(どうしよう…?)



最近は自分のことで精いっぱいで……
忘れてたわけじゃないけど、それほど頻繁に考えることのなくなっていた夏美さんのことが、また鮮明に浮かび上がって来た。


あれからも夏美さんは、あの人とずっと付き合ってたんだ。
気のせいか、この間見かけた時よりも二人の仲は親密さを増しているように思えた。



あの後、私はその場から逃げるように、電車に乗って帰って来た。



こんなこと、誰にも相談出来ない。
でも、私だけの胸のおさめておくには大きすぎる問題だ。



堤さんには何の変化もないから、堤さんはやっぱりいまもまだ夏美さんのことは、何も気付いてはいない。
でも、夏美さんとあの男性の仲は相変わらずずっと続いてる。



なんてことだろう……
でも、こんなこと、ずっと続くはずがない。
いつかは誰かに見られて、それが堤さんの耳にも入って、そして……



(何とかしないと…!
私が、なんとか堤さんを守らないと……!!)



私に何が出来るのかはわからない。
だけど、次の週から、私は休みの度に桃田の街へ通った。
今までに夏美さんを見かけた場所を中心に、私は夏美さんの姿を探して歩き回った。
まずは、夏美さんとあの男性が本当につきあってるのかどうかを確かめようと、私は考えた。



だけど、皮肉なことに、あの日以来、夏美さんを見かけることは一度もなかった。
気が付けば、あの日からもう三か月近い時が流れていた。


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