幸せの花が咲く町で
◆優一

自己嫌悪





(いいかげん、諦めなきゃな……)



水曜が来る度に、僕は憂鬱な気持ちに襲われる。
ここのところは、特にそうだ。



最初は信じていた。
お母さんを病院に連れて行かなきゃならないから、水曜日のお花と料理に行けなくなったっていう篠宮さんの言葉を……
篠宮さんのお母さんは、それなりにご高齢だと思うし、年を取れば誰だって具合の悪い所も出て来る。
だから、すんなりとその話を信じていた。



次の週になると、しばらく通院しなくてはならないと言われた。
それだって、僕は信じた。
残念だけど、そういうことなら無理は言えない。
早く良くなられたら良いのに……そう思っていた。



一か月が経ち、さらにもう一か月が経ち……
だんだんと、それ以外に理由があるのではないかと思えて来た。
なぜなら、最近の篠宮さんはなんだか少し様子がおかしいからだ。
どことなく、僕のことを避けているような気がする。
もしかしたら、家の人に僕の所に出かけていることで何か言われたのではないか?
もしくは、僕が気付かない間になにか嫌われることをしてしまったのか……
そんなことを考えるようになった。



花屋に行ったついでに、以前、両親に手を合わせに来てくれたあの人に聞いてみれば早いのかもしれない。
篠宮さんのお母さんは体調がお悪いんですか?と。
だけど、もし……そこで、「なんともない」とでも言われたら……
そう思うと、怖くて聞けない。
今はまだ自分が嫌われてるということを受け止める自信がない。
だから、訊けない。



そんな自分が女々しくて情けなくて……
僕の気持ちはまた暗く沈んだ。


< 222 / 308 >

この作品をシェア

pagetop