幸せの花が咲く町で
*
(なっちゃんはどうしてあんなことを……)
自分の部屋のベッドに横になり、僕はぼんやりとさっきのことを考えていた。
もしかして、僕の気持ちに気付いたのか?
でも、気付いたとしても、あんなこと言うだろうか?
なっちゃんはがさつなようでいて、けっこう神経の細やかなところもあるから、もしも気付いたのなら、却ってあんなことは言わないはずだ。
篠宮さんは既婚者だ。
諦めるしかないことはなっちゃんだってわかってるんだから、僕が辛くなるようなことをあえて言ったりはしないだろう。
(なのに、なぜ……?)
考えたところでわかるはずもない。
直接なっちゃんに訊けば良いものを、訊く勇気がない。
本当に女々しい男だ。
自分自身に腹が立って、苛々はさらに募った。
まるで子供じゃないか。
篠宮さんと水曜日に会えないからって、いろんな妄想をしては勝手に動揺して……
これをきっかけに、もう篠宮さんのことは忘れよう……
そうは思っても、小太郎のお迎えの都合上、毎日会ってしまう……
でも、小太郎が小学校に通うようになったら、もうそういうこともなくなるだろう。
近くだから、たまに花を買いに行くことはあるだろうけど、篠宮さんに会う機会はいまよりうんと少なくなるはずだ。
そう思うと、寂しさで胸が締め付けられた。
でも、その方が良いんだ。
これはきっと運命……いや、もしかしたら、母さんが引き離そうとしてくれてるのかもしれない。
傷の浅いうちに離れて行くようにって、母さんが空の上で何か操作してくれてるのかもしれない。
きっとそうだ。
きっと、母さんがうまくやってくれるだろう。
(僕は、ただ、流れに身を任せておけば良いんだ……)
(なっちゃんはどうしてあんなことを……)
自分の部屋のベッドに横になり、僕はぼんやりとさっきのことを考えていた。
もしかして、僕の気持ちに気付いたのか?
でも、気付いたとしても、あんなこと言うだろうか?
なっちゃんはがさつなようでいて、けっこう神経の細やかなところもあるから、もしも気付いたのなら、却ってあんなことは言わないはずだ。
篠宮さんは既婚者だ。
諦めるしかないことはなっちゃんだってわかってるんだから、僕が辛くなるようなことをあえて言ったりはしないだろう。
(なのに、なぜ……?)
考えたところでわかるはずもない。
直接なっちゃんに訊けば良いものを、訊く勇気がない。
本当に女々しい男だ。
自分自身に腹が立って、苛々はさらに募った。
まるで子供じゃないか。
篠宮さんと水曜日に会えないからって、いろんな妄想をしては勝手に動揺して……
これをきっかけに、もう篠宮さんのことは忘れよう……
そうは思っても、小太郎のお迎えの都合上、毎日会ってしまう……
でも、小太郎が小学校に通うようになったら、もうそういうこともなくなるだろう。
近くだから、たまに花を買いに行くことはあるだろうけど、篠宮さんに会う機会はいまよりうんと少なくなるはずだ。
そう思うと、寂しさで胸が締め付けられた。
でも、その方が良いんだ。
これはきっと運命……いや、もしかしたら、母さんが引き離そうとしてくれてるのかもしれない。
傷の浅いうちに離れて行くようにって、母さんが空の上で何か操作してくれてるのかもしれない。
きっとそうだ。
きっと、母さんがうまくやってくれるだろう。
(僕は、ただ、流れに身を任せておけば良いんだ……)