幸せの花が咲く町で




「あ、優一君?
俺だよ、亮介。」

「あ、亮介さん、久しぶりです。
なっちゃんなら……」

「今日は君に用があるんだ。
悪いんだけど、公園の前の花屋に来てくれる?」

「え…は、はい。」



突然の電話だった。
その日は土曜日で、なっちゃんは家にいたけど、亮介さんは僕に用があると言ってたし、家に来ずに花屋に呼び出すってことは、きっと、なっちゃんには話したくないことなんだと思って、僕はなっちゃんには亮介さんのことは言わずに家を出た。



(あれ?どこだろう?)



亮介さんの車らしい青い車はあるけれど、亮介さんの姿はなかった。
いつも見かける篠宮さんの姿もない。
誰か、亮介さんの姿を見てないか聞いてみようと、僕は花屋の奥をのぞいた。



「あ!来た来た!
優一君、こっちこっち!」

亮介さんは手招きし、篠宮さんや山野さん、それに知らない顔ぶれが、皆、驚いた様子で僕を見ていた。



「亮介さん、ここで一体何を……?」

「では、あらためて紹介します。
新しいオーナーの堤優一君です。」

「え……?」

一番驚いたのは、きっと僕だと思う。
驚くというよりも、亮介さんが何を言ってるのか、僕はまだ理解も出来ず……



「そうだったんですか!
まぁ…なんて素敵なことかしら!
堤さんみたいにお花を愛する方がここを継いで下さるなんて、まぁ……本当に嬉しいわ!」

山野さんに両手を握りしめられ、僕はさらに困惑した。



「亮介さん、どういうことなんです?」

「どういうって……夏美が君のためにこの店を買ってくれって言うから……」

「な、なんだって…!?」

「これからはバリバリ働かなきゃな!
ちゃんとした顔合わせは近々するとして……とにかく、皆さん、優一君のことをよろしくお願いします。
彼はまだ花屋のことがよくわかってないから、いろいろ教えてやって下さいね。」

僕はまだ狐につままれたような気分のまま、亮介さんに着いて店を出た。


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