幸せの花が咲く町で
「じゃ、今後は亮介さんの家に住むことになるんだね。」

「今のところはね……」

「小太郎にはいつ本当のことを話すの？」

「まぁ、いっしょに暮らすようになって、大きくなるうちにきっとわかってくると思うんだ。
だから、あの子がそのことについて質問してきたら、ちゃんと話す。」

「……そう。」



***

それから、また時が流れた。
変わったことといえば、亮介さんがよくうちに遊びに来るようになったことだけ。
それ以外は、何も変わらないまま、僕らは新しい年を迎えた。



小太郎やなっちゃんは、亮介さんと新たな生活を始め……
僕は、ひとりになって花屋を始める……


きっと、普通なら新しい商売に向けて、期待で胸が弾んでる頃なんだろうけど、僕はやっぱりまだ不安の方が大きくて……



なによりも一人ぼっちになることへの不安が一番大きかった。
日中は花屋にいれば寂しさも紛れるだろうが、仕事が終わってからのことが心配だった。
そのことに気持ちを奪われ、いつしか篠宮さんのことさえ、あまり考えないようになっていた。
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