幸せの花が咲く町で
「そっか…そんなことがあったんだ……」
私は不思議な程、淡々と話をしていた。
あの当時は苦しくてたまらなかったのに、今はまるで他人事のように思えるのが本当に不思議だった。
「だから……私には、人を好きになる資格なんてないんです。」
「リラックス、リラックス!」
夏美さんはそう言いながら、笑って私の肩を揉まれた。
「香織さん、大げさすぎだよ。
そりゃあ、そいつは悪い奴だし、香織さんが深く傷ついたってことはわかるよ。
でもね……恋愛には傷はつきものだよ。
傷付いたり傷つけたり……私だって、そういうことが山ほどあった。
恥ずかしいことも山ほどあった。
香織さんは経験が少ないから…あ、失礼。
だから、どかんと一挙に来ただけで、私にだって同じくらいの傷はあるんだよ。」
「……え……」
説教をされるとか、馬鹿にされるだろうと思ってたのに、返って来た夏美さんの言葉はそのどちらでもなく、私はどこか気の抜けたような気分を感じた。
「それにね、どんなことがあったって、人を愛する資格のない人間なんていないんだ。
第一、人を愛するのに資格なんていらない。
それにね……相手はそうじゃなかったとしても、香織さんがそれだけ深く傷ついたっていうことは、香織さんがその人のことをそれだけ真剣に愛してたってことだよ。
そんなに真剣に人を愛することって、そう度々はないと思うんだ。
素敵なことじゃない。
後になればきっと良い思い出になるって。」
(真剣に愛してた……?)
智君は私にとっては初めて好きになって、初めて付き合った人だから、真剣になるのも当然だ。
毎日が楽しくてたまらなくて、馬鹿みたいに二人の幸せな未来を想像して……
智君のためならなんでもしてあげたいって思ってた……
「香織さん…その人のこと、今も恨んでる?」
「そ、そりゃあ……」
言いかけたけど、途中で止まった。
お金を取り上げられたこと、だまされたことに腹が立たないはずはない。
だけど、それよりも強い想いは、きっと寂しさや口惜しさだと思う。
そう…私自身が智君に感じてた想いに嘘はなかった。
本当に愛してた。
心の底から智君の事を愛してた。
その想いには一点の曇りもなかった。
だから、恨めない……
本当に馬鹿だと思うけど……
私は不思議な程、淡々と話をしていた。
あの当時は苦しくてたまらなかったのに、今はまるで他人事のように思えるのが本当に不思議だった。
「だから……私には、人を好きになる資格なんてないんです。」
「リラックス、リラックス!」
夏美さんはそう言いながら、笑って私の肩を揉まれた。
「香織さん、大げさすぎだよ。
そりゃあ、そいつは悪い奴だし、香織さんが深く傷ついたってことはわかるよ。
でもね……恋愛には傷はつきものだよ。
傷付いたり傷つけたり……私だって、そういうことが山ほどあった。
恥ずかしいことも山ほどあった。
香織さんは経験が少ないから…あ、失礼。
だから、どかんと一挙に来ただけで、私にだって同じくらいの傷はあるんだよ。」
「……え……」
説教をされるとか、馬鹿にされるだろうと思ってたのに、返って来た夏美さんの言葉はそのどちらでもなく、私はどこか気の抜けたような気分を感じた。
「それにね、どんなことがあったって、人を愛する資格のない人間なんていないんだ。
第一、人を愛するのに資格なんていらない。
それにね……相手はそうじゃなかったとしても、香織さんがそれだけ深く傷ついたっていうことは、香織さんがその人のことをそれだけ真剣に愛してたってことだよ。
そんなに真剣に人を愛することって、そう度々はないと思うんだ。
素敵なことじゃない。
後になればきっと良い思い出になるって。」
(真剣に愛してた……?)
智君は私にとっては初めて好きになって、初めて付き合った人だから、真剣になるのも当然だ。
毎日が楽しくてたまらなくて、馬鹿みたいに二人の幸せな未来を想像して……
智君のためならなんでもしてあげたいって思ってた……
「香織さん…その人のこと、今も恨んでる?」
「そ、そりゃあ……」
言いかけたけど、途中で止まった。
お金を取り上げられたこと、だまされたことに腹が立たないはずはない。
だけど、それよりも強い想いは、きっと寂しさや口惜しさだと思う。
そう…私自身が智君に感じてた想いに嘘はなかった。
本当に愛してた。
心の底から智君の事を愛してた。
その想いには一点の曇りもなかった。
だから、恨めない……
本当に馬鹿だと思うけど……