幸せの花が咲く町で
◆香織
私のすべてを
*
「はい。」
「こ、こんにちは、篠宮です。」
「篠宮さん?」
ドアを開けて下さった堤さんは、えらく驚かれてる様子だった。
「すみません。
いきなり来てしまって……
で、やっぱりご連絡をしなきゃって思って、メールはここで打ったんです。」
「そうだったんですか。
寒かったでしょう?さぁ、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
私は、どこかほっとして家にあげてもらった。
「今、お茶を淹れますね。」
様子を見ている限り、特に変わった様子はないけれど、無理をしてらっしゃるんだろうか?
私はテレビを見るふりをしながら、ちらちらと堤さんの様子をうかがった。
ついさっき、夏美さんから電話があった。
今日から、夏美さんは小太郎ちゃんを連れて、亮介さんの家にお泊りとのこと。
そのせいで、堤さんはひどく落ち込まれていて心配だから、出来るだけ長い間、一緒にいてやってほしいとのことだった。
だから、すぐに駆けつけて来たのだけど、今のところ、それほど変わった様子は見受けられない。
「お正月はいかがでしたか?
ゆっくり出来ましたか?」
「え…えぇ。まぁ……
あ、そういえば、堤さんはおせちなんか作られたんですか?」
「作ってみたかったんですけど……
亮介さんがおせちを予約してくれてたんで、作れませんでした。」
「そうですか。
それは残念ですね。」
少し話してみても、堤さんはいつもと変わりないように思えた。
(でも……)
以前にも、突然、感情が噴き出したことがあった。
だから、いつもと変わりないように見えても、それがすべてではないのかもしれない。
「堤さん、買い物に行きませんか?
またお料理を教えていただきながら、夕食を食べたいんですが……」
「それが……今日はなっちゃんも小太郎もいないんです。
ですから、外の方が……」
「いえ…そんなことは構いません。
今日はじっくりとお話したいこともあるんです。」
私にしては意外な程強引な言葉だった。
あのことを話すということも、まだ決心出来てなかったはずなのに、私は無意識にそんなことを口にしていた。
「はい。」
「こ、こんにちは、篠宮です。」
「篠宮さん?」
ドアを開けて下さった堤さんは、えらく驚かれてる様子だった。
「すみません。
いきなり来てしまって……
で、やっぱりご連絡をしなきゃって思って、メールはここで打ったんです。」
「そうだったんですか。
寒かったでしょう?さぁ、どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
私は、どこかほっとして家にあげてもらった。
「今、お茶を淹れますね。」
様子を見ている限り、特に変わった様子はないけれど、無理をしてらっしゃるんだろうか?
私はテレビを見るふりをしながら、ちらちらと堤さんの様子をうかがった。
ついさっき、夏美さんから電話があった。
今日から、夏美さんは小太郎ちゃんを連れて、亮介さんの家にお泊りとのこと。
そのせいで、堤さんはひどく落ち込まれていて心配だから、出来るだけ長い間、一緒にいてやってほしいとのことだった。
だから、すぐに駆けつけて来たのだけど、今のところ、それほど変わった様子は見受けられない。
「お正月はいかがでしたか?
ゆっくり出来ましたか?」
「え…えぇ。まぁ……
あ、そういえば、堤さんはおせちなんか作られたんですか?」
「作ってみたかったんですけど……
亮介さんがおせちを予約してくれてたんで、作れませんでした。」
「そうですか。
それは残念ですね。」
少し話してみても、堤さんはいつもと変わりないように思えた。
(でも……)
以前にも、突然、感情が噴き出したことがあった。
だから、いつもと変わりないように見えても、それがすべてではないのかもしれない。
「堤さん、買い物に行きませんか?
またお料理を教えていただきながら、夕食を食べたいんですが……」
「それが……今日はなっちゃんも小太郎もいないんです。
ですから、外の方が……」
「いえ…そんなことは構いません。
今日はじっくりとお話したいこともあるんです。」
私にしては意外な程強引な言葉だった。
あのことを話すということも、まだ決心出来てなかったはずなのに、私は無意識にそんなことを口にしていた。