幸せの花が咲く町で

＊



「あぁ、やっぱりおいしいですね。
うちで食べるのとは全然違います。」

「そんなことないですよ。
僕だって、特別な作り方はしてませんから……」



小太郎ちゃんが翔君の家に遊びに行ってて、二人っきりでこんな風に夕食をとったのは何か月前のことだっただろう……
あれから、いろんなことがあって、いろんなことがわかって……



（今度は私の番なんだわ。
今日こそ、はっきり話さないと。）



嘘を吐いてたことを話すのはとても勇気がいる。
一時は決心したのに、すぐにそれが萎えてしまって、そのままずるずると日が過ぎて……
そんなことじゃだめだって思うのに、やっぱり決心がつかなくて……



でも、今日こそは話そう。
言わなきゃいけない。
堤さんに嘘つきと罵られても、嫌われても、正直に話さなきゃ……！
翔君ママだって、あんなに言いにくいことをちゃんと話してくれたんだもの。



夕食を終え、お茶をいただいてる時に、私は勇気を振り絞り、無理矢理に口を開いた。



「あの……ちょっとお話したいことがあるんですが……」

「なんですか？あらたまって……」

堤さんが私をじっとみつめられた。
その視線を感じると、ますます緊張してしまう。
ここから今すぐ消えてなくなりたい！……そんな馬鹿みたいなことを考えても、消えられるはずもなく……
私はついに観念した。