幸せの花が咲く町で
「ある時、彼に送ったメールが戻って来ました。
おかしいなと思いながら電話をかけたら、その番号は使われていないってアナウンスが流れたんです。
そんな事態になっても、私は彼のことを信じてました。
それどころか、彼に何かあったんじゃないかって心配で心配で……
結局、私が騙されたことに気付いたのは、多分、一か月くらいしてからのことでした。
もちろん、それまでにもそんな考えが頭をかすめたことはあるんですよ。
でも、私はその度にそれを否定した。
彼とは結婚を約束した仲なんだし、彼が私を騙したりすることなんてあるはずがない……
私は、ずっとそんな風に思ってたんです。
なんて馬鹿だったんだろう……
自分自身のことが悔しくてたまりませんでした。
でも、悲しみに暮れている暇はありませんでした。
使い込んだ母の貯金と、金融会社から借りたお金を返さなければならなかったから、私はひたすら働きました。
そのうち、会社の同僚に私が彼氏に騙されてるんじゃないかって疑われて……
私がバイトをしてるのをたまたま見かけた人がいたんです。
忙しくて、私、当時はずいぶん痩せてましたから、彼氏に貢いでるんじゃないかって疑われたんです。
いえ、それは疑いではなく真実ですね。
ただ、それはもう騙されて捨てられた後のことでしたが……
私は、見栄から彼とまだ付き合ってるふりをしました。
そしたら、今度は結婚の話をされるようになって……
それがいたたまれなくて、私は会社をやめたんです。
私って……本当に嘘吐きですよね。
それも、いつも見栄ばっかり。
彼とは別れたっていえば良かったのに、どうしてもそれが言えなかった……
幸せなふりをしていたかった。
堤さんにもそうですよね。
素直に、独身で母と二人暮らしですって言えば良かったのに……
どうしても、そう言えなかったんです。
きっと、堤さんのご家族があまりにお幸せそうに見えたから……
堤さん達に比べて自分の境遇があまりに惨めだから……それを認めるのが辛かったんだと思います。」
酷いことを言ってるのかもしれないという意識はあった。
まるでひがみ……
堤さんのご家庭にもいろんな事情があって、とても辛いことがあったことも知ってるのに、私はなんてことを言ってるんだろう……
嘘吐きで見栄っ張りで、自分のことばかり考えて……
私は自分の心がこんなにも汚れていたことに、愕然とする想いだった。
おかしいなと思いながら電話をかけたら、その番号は使われていないってアナウンスが流れたんです。
そんな事態になっても、私は彼のことを信じてました。
それどころか、彼に何かあったんじゃないかって心配で心配で……
結局、私が騙されたことに気付いたのは、多分、一か月くらいしてからのことでした。
もちろん、それまでにもそんな考えが頭をかすめたことはあるんですよ。
でも、私はその度にそれを否定した。
彼とは結婚を約束した仲なんだし、彼が私を騙したりすることなんてあるはずがない……
私は、ずっとそんな風に思ってたんです。
なんて馬鹿だったんだろう……
自分自身のことが悔しくてたまりませんでした。
でも、悲しみに暮れている暇はありませんでした。
使い込んだ母の貯金と、金融会社から借りたお金を返さなければならなかったから、私はひたすら働きました。
そのうち、会社の同僚に私が彼氏に騙されてるんじゃないかって疑われて……
私がバイトをしてるのをたまたま見かけた人がいたんです。
忙しくて、私、当時はずいぶん痩せてましたから、彼氏に貢いでるんじゃないかって疑われたんです。
いえ、それは疑いではなく真実ですね。
ただ、それはもう騙されて捨てられた後のことでしたが……
私は、見栄から彼とまだ付き合ってるふりをしました。
そしたら、今度は結婚の話をされるようになって……
それがいたたまれなくて、私は会社をやめたんです。
私って……本当に嘘吐きですよね。
それも、いつも見栄ばっかり。
彼とは別れたっていえば良かったのに、どうしてもそれが言えなかった……
幸せなふりをしていたかった。
堤さんにもそうですよね。
素直に、独身で母と二人暮らしですって言えば良かったのに……
どうしても、そう言えなかったんです。
きっと、堤さんのご家族があまりにお幸せそうに見えたから……
堤さん達に比べて自分の境遇があまりに惨めだから……それを認めるのが辛かったんだと思います。」
酷いことを言ってるのかもしれないという意識はあった。
まるでひがみ……
堤さんのご家庭にもいろんな事情があって、とても辛いことがあったことも知ってるのに、私はなんてことを言ってるんだろう……
嘘吐きで見栄っ張りで、自分のことばかり考えて……
私は自分の心がこんなにも汚れていたことに、愕然とする想いだった。