幸せの花が咲く町で
*
「まぁ……なんて、素敵なお家なんだろう……
こんな所に住ませていただけるなんて、夢みたいです。」
お母さんは部屋のあちこちを眺め、感心したりびっくりしていた。
「もし、お二人で暮らすのが気詰まりでしたら、篠宮さんは…あ、香織さんは、二階の部屋を使っていただいても良いですよ。」
「いえ、こちらで十分です。
こんなに広かったら、気詰まりなんてことありませんわ。
それに、日中は私は働いてますし、ここでは寝るだけですから。」
篠宮さん親子は、ほとんどの荷物を処分して、衣類や身の周りのちょっとしたものだけを持って来ていた。
「衣類等はここに入れて下さいね。」
「大きな収納ですね。これだけあれば私と母のものを入れてもまだまだ余りそうです。」
「おやまぁ……なんて素敵な景色なんだろう……
香織、ほら、見てごらんよ。」
お母さんは、窓から顔を出して、庭の様子を微笑みながらずっと眺めていた。
「堤さん…本当にどうもありがとうございます。
前のアパートと比べたら、ここは天国ですよ。」
お母さんは、この部屋をとても気に入ってくれたようで…その笑顔に僕はどこか安堵した。
「何か足りないものとか不自由なことがあったら、おっしゃって下さいね。」
「ありがとうございます。
あの……堤さん……ご両親はどちらですか?
ご挨拶したいんですが……」
「あ…こっちです。」
お母さんは、足をひきずるものの、杖がなくともゆっくりなら歩けるようだった。
だけど、その足取りはおぼつかない。
(リビングまで、壁に手すりを付けた方が良いかな……)
そう思いながら、僕はお母さんの身体を後ろからそっと支えた。
お母さんは驚いたような表情を浮かべ、そして小さく頭を下げられた。
「ここです。」
僕は仏壇の所に、お母さんを案内した。
「すみません。立ったままで失礼します。」
仏壇の前に篠宮さんが座り、線香に火を付けた。
その隣にお母さんが立って、けっこう長い間、二人は仏壇に手を合わせてくれた。
「まぁ……なんて、素敵なお家なんだろう……
こんな所に住ませていただけるなんて、夢みたいです。」
お母さんは部屋のあちこちを眺め、感心したりびっくりしていた。
「もし、お二人で暮らすのが気詰まりでしたら、篠宮さんは…あ、香織さんは、二階の部屋を使っていただいても良いですよ。」
「いえ、こちらで十分です。
こんなに広かったら、気詰まりなんてことありませんわ。
それに、日中は私は働いてますし、ここでは寝るだけですから。」
篠宮さん親子は、ほとんどの荷物を処分して、衣類や身の周りのちょっとしたものだけを持って来ていた。
「衣類等はここに入れて下さいね。」
「大きな収納ですね。これだけあれば私と母のものを入れてもまだまだ余りそうです。」
「おやまぁ……なんて素敵な景色なんだろう……
香織、ほら、見てごらんよ。」
お母さんは、窓から顔を出して、庭の様子を微笑みながらずっと眺めていた。
「堤さん…本当にどうもありがとうございます。
前のアパートと比べたら、ここは天国ですよ。」
お母さんは、この部屋をとても気に入ってくれたようで…その笑顔に僕はどこか安堵した。
「何か足りないものとか不自由なことがあったら、おっしゃって下さいね。」
「ありがとうございます。
あの……堤さん……ご両親はどちらですか?
ご挨拶したいんですが……」
「あ…こっちです。」
お母さんは、足をひきずるものの、杖がなくともゆっくりなら歩けるようだった。
だけど、その足取りはおぼつかない。
(リビングまで、壁に手すりを付けた方が良いかな……)
そう思いながら、僕はお母さんの身体を後ろからそっと支えた。
お母さんは驚いたような表情を浮かべ、そして小さく頭を下げられた。
「ここです。」
僕は仏壇の所に、お母さんを案内した。
「すみません。立ったままで失礼します。」
仏壇の前に篠宮さんが座り、線香に火を付けた。
その隣にお母さんが立って、けっこう長い間、二人は仏壇に手を合わせてくれた。