幸せの花が咲く町で




「小太郎……どうだ?」

どきどきしながら返事を待っていると、小太郎はにっこりと微笑んだ。



「うん、すっごく美味しい!
僕、この味、大好き!」

「そうか!」


初めて手作りしたハンバーグは、小太郎にも高評価をもらえた。
ただほんの数分温めれば食べられるハンバーグが、手作りすると一時間以上かかった。
それは僕の手際が悪かったせいもあるかもしれないけれど、こんなにも手間暇かけて作られるものなんだと、今更にして実感した。



「……懐かしい味だよね。」

「……うん。」



僕が作ったハンバーグなのに、子供の頃の母さんの味が思い出された。


ここよりもずっと狭い台所で、四人で他愛ない話をしながら食べたあの夕食が思い出された。


料理ひとつで、僕はあの頃に帰れるんだと思ったら、また胸がいっぱいになって……



「パパ…どうかしたの?」

「え…?いや、なんでもない。
そんなことより、小太郎……明日は何作ろうか?」

「う~ん…とね。
……オムライス!!」

「私、塩さば!」

元気に手を上げてそういう二人に、僕は無理に微笑んだ。

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