幸せの花が咲く町で
『えーっと……
どういうことかな?
ごめんね。意味がわからない。』

私はそのまんまの気持ちを伝えた。



『彼氏がいるならいるって最初から言ってほしかったってことだよ。
最初からわかってたら、僕だってこんなに傷付くことはなかったのに……』



え……!?


確か、知り合って間もない頃に、彼氏はいるのかって聞かれたことはあった。
で、私はいないって答えて……


『えっと……
私には彼氏はいないけど……どういうこと?』

『えっ!?だって、さっきのメール…
僕にはメル彼にさえなれる可能性はないみたいに書いてあったじゃない。』



さっきのメールって……
メル彼候補が二百人くらいいるっていうあのメールのこと??


『何言ってんの?
あんなの冗談に決まってるじゃない。』

『えっ!そうなの?
僕のことがいやだから、あんな風に言ったわけじゃないの?』

『違うよ!
私には残念ながら彼氏もいなけりゃ、メル彼候補も一人もいないよ。
メル友だって、智君だけだよ。』

『本当に??
本当だったら、一言でいいから電話かけてよ。
メールじゃなくて、かおりの口からはっきり聞きたい。
僕の携帯は……』

そこには智君の電話番号が書いてあった。
メールならともかく、電話で話すっていうのはずいぶんと勇気がいる。
だけど、智君に勘違いをさせたのは私だし……


私は、勢いと共にメール画面のその番号を押し込んだ。




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