幸せの花が咲く町で
「まさか~…
篠宮さん、真面目だし、地味だし、しっかりしてるから、チャラい男とは出会う機会もないだろうし、そういうことはないんじゃないの?」
「馬鹿ね。真面目な女ほど、騙しやすいじゃない。」
「そういえば、その彼氏とはどこで出会ったのかしらね?
あの人、合コンに行くようなタイプじゃないし……」
「メル友サイトとかSNSあたりじゃないの?
あの人、休み時間もけっこう携帯いじってない?」
「あぁ、確かに……」
もう、やめて!
個室から飛び出して叫びたくなる気持ちを、私は必死で我慢した。
「ねぇ、今度、その居酒屋に行ってみない?
あ、明日はどう?
金曜日だし……」
「そうね!行ってみようか!」
聞きたくない話だったけど、聞けて良かったと思った。
もうあの居酒屋では働けない。
なんとか理由をつけて今夜中に店を辞めることを決めた。
彼女たちが出て行ってから、私はゆっくりと部屋に戻った。
「ねぇねぇ、篠宮さん……
彼氏とはどこで知り合ったの?
合コンかなにか?」
席に着くなり、すぐに岡村さんが寄って来て、私にそんなことを質問した。
「私…合コンは行ったことないから。
知り合ったのは、SNSの読書サークルだよ。
私と彼、好きな作家がすごく合ってて……」
「そう……
読書サークルか~……
だったら、プレゼントはいつも本とか?」
「あ……私、彼にまだなにもプレゼントしたことなかった。
そうね、本やら図書カードをプレゼントしたら喜ばれそうね。
ありがとう、岡村さん!」
私がそう言うと、岡村さんはどこかつまらなさそうな顔で、自分の席に戻った。
きっと、私が貢いでないかを探りに来たんだろう。
なんとか、岡村さんを出し抜けたとほっとした時……私はあることを思い出した。
そういえば、智君は最初「読書」という趣味が同じだからって言ってメールをくれたけど……
智君とは、本の話をしたことなんて一度もなかった。
智君が本を持ち歩いてるところも、もちろん見たことはない。
私だって、最近はほとんど読んでないから人のことは言えないけれど、やっぱり、最初から騙すつもりだったんだろうなって思えた。
読書が趣味な地味で真面目なタイプはターゲットとして最適だったのかもしれない…と。
篠宮さん、真面目だし、地味だし、しっかりしてるから、チャラい男とは出会う機会もないだろうし、そういうことはないんじゃないの?」
「馬鹿ね。真面目な女ほど、騙しやすいじゃない。」
「そういえば、その彼氏とはどこで出会ったのかしらね?
あの人、合コンに行くようなタイプじゃないし……」
「メル友サイトとかSNSあたりじゃないの?
あの人、休み時間もけっこう携帯いじってない?」
「あぁ、確かに……」
もう、やめて!
個室から飛び出して叫びたくなる気持ちを、私は必死で我慢した。
「ねぇ、今度、その居酒屋に行ってみない?
あ、明日はどう?
金曜日だし……」
「そうね!行ってみようか!」
聞きたくない話だったけど、聞けて良かったと思った。
もうあの居酒屋では働けない。
なんとか理由をつけて今夜中に店を辞めることを決めた。
彼女たちが出て行ってから、私はゆっくりと部屋に戻った。
「ねぇねぇ、篠宮さん……
彼氏とはどこで知り合ったの?
合コンかなにか?」
席に着くなり、すぐに岡村さんが寄って来て、私にそんなことを質問した。
「私…合コンは行ったことないから。
知り合ったのは、SNSの読書サークルだよ。
私と彼、好きな作家がすごく合ってて……」
「そう……
読書サークルか~……
だったら、プレゼントはいつも本とか?」
「あ……私、彼にまだなにもプレゼントしたことなかった。
そうね、本やら図書カードをプレゼントしたら喜ばれそうね。
ありがとう、岡村さん!」
私がそう言うと、岡村さんはどこかつまらなさそうな顔で、自分の席に戻った。
きっと、私が貢いでないかを探りに来たんだろう。
なんとか、岡村さんを出し抜けたとほっとした時……私はあることを思い出した。
そういえば、智君は最初「読書」という趣味が同じだからって言ってメールをくれたけど……
智君とは、本の話をしたことなんて一度もなかった。
智君が本を持ち歩いてるところも、もちろん見たことはない。
私だって、最近はほとんど読んでないから人のことは言えないけれど、やっぱり、最初から騙すつもりだったんだろうなって思えた。
読書が趣味な地味で真面目なタイプはターゲットとして最適だったのかもしれない…と。