獣系男子×子羊ちゃん
まわりの視線を追って
気だるげに顔を上げたお兄ちゃんが
やっと私に気づいた。


一瞬、状況を理解できずに
呆然とした表情をしたお兄ちゃんは、

私の姿を確認するやいなや

途端に顔色をかえて

駆け寄ってきた。




「モモ!お前、

なんでこんなところにいんだよっ!」




「…これ。」




数メートル離れたところから、
紙袋につつんだお弁当をさしだす。



「ママから頼まれたの。」



あまりの緊張から
涙が出そうになるのをこらえながら、

震える手で
お兄ちゃんにお弁当を渡す。




「お前、こんなとこ、来んなよ!

いいから、早くいけよっ!」




そう言って
お兄ちゃんは私から乱暴に紙袋を奪うと

グイッと私の腕を掴んで

駅まで続く歩道へ

私を連れ戻した。





「2度とここには来んなよ。」




はき捨てるようにそう言うと、
お兄ちゃんは金髪をなびかせて

友達の待っている公園に戻っていった。



< 12 / 420 >

この作品をシェア

pagetop