獣系男子×子羊ちゃん
公園にもどるお兄ちゃんの背中を
やるせない思いで見送った。


私を見つけたときの

気まずい表情も、

乱暴な仕草も、

少し苛立ちを含んだきつい口調も、


そのどれもが私の知っている
お兄ちゃんのものだとは思えなかった。



お兄ちゃんは
いつでもこのうえない優しさを
私にそそいでくれていた。



それはお兄ちゃんの髪の色が
金色になってからも

なんら変わることなく

続いていた。




でも、今のお兄ちゃんは、
私の知っているお兄ちゃんとは
全く別人のようだった。



それとも、私が知らなかっただけで、
今見たお兄ちゃんの姿が、
本当のお兄ちゃんの姿なの?



そこには、

確かに私の知らないお兄ちゃんがいた。





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