獣系男子×子羊ちゃん
「どうした、モモ?」


キョトンとした顔で
こちらを向くお兄ちゃんを
まともに見ることが出来ない。


「あ、あんまり一緒にいると、
学校でも噂になっちゃうし。

それに、もう、
メールもこなくなったし。」


なるべくお兄ちゃんから顔を背けて
言葉を続ける。

今、お兄ちゃんに顔を見られたら
動揺しているのがきっとバレてしまう。



「そっか。でも、大丈夫か?」



お兄ちゃんは私の様子には
気づかずにいる。


「うん、気をつける。
もし、なにかあったら、
お兄ちゃんが送迎してくれる?」



「そっか。わかったよ。」



お兄ちゃんが
ちょっと嬉しそうに微笑む。


「お前は相変わらず
兄貴離れできないんだな。

ま、俺なら、学校でも
噂にもならないからな。」



お兄ちゃんの言葉に
ぎこちない笑顔でこたえる。


私は本当に
なんにもわかっていなかった。


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