獣系男子×子羊ちゃん
一緒に帰る途中、
蒼介さんが柔らかく笑って言った。



「また、一緒に帰れたな。
もうお前と会えないんだと思って、
じつは結構へこんだ。」



「でも、そんなこと言っても、
蒼介さん、
うちの学校の先輩と…。」



あの日のことを思い出して、
ちょっと嫌な気分になる。



「あれはお前が、悪い。」



「私が?」



「なんでもねぇ。絶対いわねぇ。」



ぷいっと
そっぽを向いた蒼介さんの
大きな手に触れて、小指を
キュッと握る。



「蒼介さん。

蒼介さんそういうの、ウザいって
思うかもしれないけど、

面倒くさいって
思うかもしれないけど

私がワガママなのかもしれないけど

でも、

でも、

蒼介さん。

他の女の人に触ったらいやだよ…。

蒼介さんが他の女の人に触られるのも
…すごくいやだよ。」




そう言って
蒼介さんの小指をギュッと握って
下を向いた。

あの日、蒼介さんが
うちの学校の先輩を
抱き寄せている姿をみた瞬間、
心がボロボロになってしまった。

すごい破壊力だった。





< 315 / 420 >

この作品をシェア

pagetop