獣系男子×子羊ちゃん
「一樹もここ、来んのか?」


「お兄ちゃんは来たことないよ。
お母さんと。」


「ふーん。」



「お兄ちゃんは、学校でどんな感じ?」



「一樹?一樹は人気あるよ。
人懐っこくて、
いつもニコニコしてるし、明るいしな。
男にも女にも人気あるよ。」


「男子校なのに女の人?」


「いや、まぁ、……な。
一樹はさ、
いつもみんなの真ん中にいるよ。」


「そっかぁ。」


「嬉しそうだな。」


「うん。嬉しい。すごく嬉しい。
お兄ちゃん、
学校が楽しくてよかった。」



「なんか、親みてぇだな。」


蒼介さんが笑う。



「親父は?」


「え?」


「お前の親父はどんな感じなの?」



「うーん…仕事が忙しくて
あんまり帰ってこないかな。

昔はお兄ちゃんとすごく
仲良かったんだけど…

最近はあんまり…」



パパとお兄ちゃんが口をきかなくなって
もう2年以上が経つ。



「ま、どこもそんなもんだよ、きっと」


「ん。」


「なんでお前がそんな顔してんだよ。」


「ん。」



「ほら、食えって。
最後の白玉、お前に、やるから。」



「ありがとう。」



蒼介さんに頭を優しくなでられて
ちょっとだけ、心が温かくなった。


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