エンビィ 【完】




「あら、玲奈さんじゃないこと?」



それ邪魔したのは、知らないこともない女。

美人ではないけれど愛嬌のある顔。




「……玲奈さん……今日は地味だわね………あら私ったら…なんて当たり前なことを…だって今日は…そんな集まりじゃないもの…ね?」



勝ち誇るように嘆く女。


そのの首にぶら下がるパールのネックレスを引きちぎってやりたい。

この程度の女に馬鹿にされるなんて。


それを実行するか、または、

この女を罵ってやろうかと考えていた矢先―――




「お話中失礼かとも思いましたが、そちらのお嬢様。靴の色が左右で少々が異なるとお見受けしますが」



口を挟んできたのは百瀬。


その瞬間、

固い表情で自分の足元をみた女は真っ赤になった。




「れ、玲奈さん!あ、あなた…っ……会話の途中に執事が出しゃばってくるなんて…ど、どういう教育をしてらっしゃるのっ!」



―――無様。

鼻で笑うのを我慢して、あたしは口をひらいた。



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