エンビィ 【完】
―――青のドレス―――
パーティって華やかな場所は、いかに着飾って、いかに美しく見せ、そしていかに人目にとまるかを競う、最高の舞台だと思う。
潮風になびくドレスの裾を、おしとやかに押さえるお嬢様連中。
あたしも揺れるドレスを押さえる、ふりをする。
「れなさん」
呼ばれた声に振り返った瞬間、
口許が限界まで上がりそうになるのを堪え、「こんばんは」そう言って微笑むマネをした。
ピンク、黄色、ピンク―――勝った
「今日も素敵なドレスですね!」
当たり前、
心の中で呟く。
「あなたたちもとてもお似合いですね」
―――素敵、
「ありがとうございますっ!!」
なんて言ってやらない。
だって、ちっとも素敵に見えやしないのだから。
だから素敵じゃないドレスは、あなたたちに"とてもお似合い"よ?