エンビィ 【完】
「―――玲奈さん、貴女は」
「ちょ、」
「貴女は、私に勝ちたいと言うけれど」
突然のそれに、
文句をつけようと口を開けば――。
「それはすでに成し遂げられてると思いますわ」
ユキノにしては、早口。
「貴女の執事に言われたんですの。私がどんなに格式高い血を引いていようが、財力のある家のお嬢様だろうが、“俺にとってのお嬢様は玲奈様だけです”って」
「なっ…」
運転席にいつもどおりに座っている百瀬を横目で睨みつける。
ユキノとなんて会話をしているのよっ…。
たとえば、他の嫌味たっらしいお嬢様向けてその言葉を吐くんなら清々するが……ユキノ相手に吐かれたと思えば、体温が上昇する。