エンビィ 【完】
モンナンジュ
重苦しい装飾をした部屋に、2人の男がいる。
色素が薄く、茶色の混じる髪を撫でながら首を回す男は、音をたててソファーにどっしりと座った。
「あー疲れた。葬式って、疲れるよな」
ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩める男とは逆に、
綺麗なのに堅苦しくさを感じさせないスーツの着こなしをしている男は、部屋に飾られた絵を眺めていた。
「でもさ、絶対にさ、10年以内またあるぜ」
「嫌だな、ヤダ、ヤダ」ぶるぶると頭を振る男は、そう連発した。
「しかも、今日以上に、盛大な葬式。あーヤダ」
「縁起でもないことを言うな」
「んなこと思ってないくせに」
ははっと軽く笑う男に、絵画から視線を外した男。
それを否定しなかった男は、対面するソファーに腰掛け、煙草を取り出した。