エンビィ 【完】
「でももっとウケたのは、ユリちゃんのほうだよ」
「………」
「ずっとイオリのことを非難めいた目で見てたからさ」
「そうか」
次にイオリが低く呟いた言葉に、もう一人の男は破顔した。
「――ハル」
「ん?」
「アレはない」
「ん?」
「なぜユキノは白装束じゃなかった?」
「んんっ?」
「なぜ赤いドレスを着ていた?」
ハルと呼ばれた男は、目をキョトンとさせ、その直後大爆笑した。
破顔を越えたそれに、しまいにはぜえぜえ言いながら腹を捩じらせる姿に、イオリは顔を顰めた。
「嫉妬かよーイオリ」
からかうような言い方を、冷めた視線で受け止める。