エンビィ 【完】
「イオリはさ、ずるいなぁ」
「終わったことをグチグチ言うな」
「ユキノ、消えちゃったじゃん」
「今更後悔か?」
2人はそこで口許に似たような笑みを浮かべると、絵画に向けて大胆不敵な視線を投げた。
「mon ange―――仰せのままに」
「気色が悪いハル」
「はははっ。確かに俺って“仰せのままに”とか言うキャラじゃないよなー」
「分かってるなら言うな」
「へいへい」
「mon ange…か」
「ん?」
「いや、アイリーンがange malicieuxと言っていたんだ」
「へえ?詳しく聞かせてよ」
イオリが思い返すようにして告げる話に、ハルは笑いが止まらない。
途中からは、げえげえ漏らしながらイオリの話を聞いた。