エンビィ 【完】
「なに…その…傍目には麗しく聞こえるお伽噺!」
「要約とは恐ろしいな」
「でもさ、アイリーンって、首尾は知らないんでしょ?なのに……“ange” じゃなくて “ange malicieux” なんだ?………ぶっはははは、やばっ……俺はそこにアイリーンすごさを感じるよ……ぶはは」
「…………少し、脚色が混じっているのが気になる」
「気になるんじゃなくて、気に食わないんでしょ?」
笑いにひと段落がついたハルは、深く息を吸って深く息を吐いた。
「イオリ」
伏せ目がちに話しかけてくるハルの目許は、少し疲れたように翳っている。