エンビィ 【完】
「少しは自由にしてあげれたのかな?俺たち」
「名目上は」
「実質は?」
「……完全ではない」
「そっか……はあ…さっさと逝けばいいのに」
「だから縁起でもないことを言うな」
「ふはは」
軽やかに微笑するハルに、イオリも口許に手をあて笑う。
壁に掛かった大きな絵画には、
二人の天使が、深い紺色の地球を守るように包み込んだものが描かれている。
天上界の天使は、美しすぎる。
正確にいえば、それは、天使と女神の間のような絵。
この重苦しい装飾の部屋を、さらに重苦しくしているのは、間違いなくその天使の絵画だった。