エンビィ 【完】
「わたし…私……止められなかったの…」
「うん」
「……ユキノは、最低だけど…っ…でも………最後に納得しちゃった私は、ユキノより最低」
「………うん……それは仕方のないことだもの」
「…みんなが幸せになれる方法があればいいのに……」
「あるよ、ユリ様」
サラサラの髪を梳き、
穏やかに慰める少年は、腕の中の彼女を安心させるように呟く。
彼はまるで、全てを悟っているようにも見える。
「ケイ様が真実に気づいてくれればいい。それだけの話なんです」
「……それは、無理よ……」
「なぜです?」
「…だって相手が相手だもの……絶対無理」
「ユリ様きいて」
「………」
「必ずどこかにね、綻びがあるはずなんだよ」
「……綻び?」
枝毛一つない黒髪が、月夜に照らされる。