エンビィ 【完】
「彼女はいつだって完璧かもしれないけどね」
―――そう、彼女はいつだって完璧だ
「彼女にだって、予測不可能な事態……そんなものがあっても、可笑しくないと思うんだ」
「……分からないわ」
「葬儀場で、ケイ様がイオリ様に会ったのは間違ってない?」
「…ええ」
「それこそが綻び」
「…それのどこが――――――あっ」
急に顔を上げたユリに、少年は優しく微笑む。みるみるうちに、腕の中のユリが元気を取り戻す様子を眺める瞳は、淡く綺麗だ。
「ねえケイ君、早く真実に気づいて」
流れ星に願うように、両手を組み込んで瞼を閉じる姿に、少年も緩やかに瞼を閉じる。