エンビィ 【完】




―――少年は思う



彼女は、いつだって完璧。


たがら、そこを見落とすほど、甘くはない。だったらそれは、わざと作った綻びなんだろう。おそらくは、ユリがケイのことで悩むのを先見した結果のこと。



優しい人だ。


瞼の裏では、少年が思い描く容姿で。

彼女が頬杖をついて、口許に弧を描いている姿が浮かんでくる。




ねえ、あなたのすることに口出しをする気はないし、口を出したところであなたの意思を曲げることができないのも重々承知。



だけど、だけどね、

出来たらあんまりユリ様を悲しませないで欲しいなあ。



だって、ユリ様にとってあなたは、数少ない友人なんだ。

ユリ様が、心置きなく頼れる、数少ない人種なんだから。



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