エンビィ 【完】
アンジュマリスィウ
夜が明けようとする頃。
空は、紺色と紫の間をさまよっている。
無感情ではないが、どうとも読めない瞳が、その空を一定の瞬きをしながら見ていた。
「お前との約束通り、葬儀は盛大に行われた」
手すりに肘をついている横顔が、不敵に笑いながらそう告げた。
その少女の言い草に、青年は一瞬言葉に詰まったものの、それを悟らせない笑みで続けた。
「嫌味ですか?」
「いや」
鼻で軽く笑う否定。
「それに……盛大に葬儀をして下さいとは言ってませんよ?」
「ふん。お前の望みは、それと同意義だ」
青年は、多少の皮肉が込められた事実を、害がないと流した。
なぜなら、それも一つの真実ではあったから――。