エンビィ 【完】
今回のパーティはそれなりに大規模だった。
見知らぬ奴らもうじゃうじゃいた。若葉が知っていたくらいだ。ある程度地位のある人間なら、秘密裏に伊織が出席することを知っていたんじゃないの?
「やあ、玲奈。おかえり」
何十席もある椅子の一つに座っている父は、
あたしを見た途端、顔を綻ばせた。
「ねえパパ、」
「今日のドレスはやたら大人ぽっいな」
「ねえ、」
「女の子の中では玲奈が一番だったんじゃないか?」
「―――今日はどうしてパーティに来なかったの?」
「―――伊織くんはどうだった?」
………やっぱり…そういうこと…。
父は伊織がパーティに来ることを知っていた。
どういう理由かは知らないけど、あたしにはそのことを伏せ、しかも父はパーティに参加しなかった。
間違いなく父は、あたしの欲しい答えを持っている。