エンビィ 【完】
「伊織様のお姫様のことだけど」
「伊織くんの…お姫様…?」
少し考えるそぶりを見せた父は、
合点がいったと手を叩くと、「聡明な子だったろう?」どこか外れたことを言う。
「そ、うめい…?」
「ああ。奇抜も奇抜。面白い子だ。綺麗で聡明で伊織くん同様に、抜け目がない。常々不思議に思うよ、あの家の教育を」
「………」
「秀才という枠を超えているな彼らは。英才教育だけでは培えないものがあると心底思うよ」
「………」
「彼らの家の者と話していると格の違いを見せつけられるよ」
「………」
「オーラというか、そういうカリスマ的なものを持っているのだろう」
――――それって
"生粋の血"じゃないとダメってこと…?