エンビィ 【完】




「それにしても玲奈」



――――冗談じゃない。


格の違いってなに?


あたしは生粋のお嬢様を凌駕したというのに、

格の違いってなに?


つまり今まであたしが相手にしていたお嬢様とやらは、二流か三流程度のお嬢様だったとこと?



――――なにそれ

――――なにそれ




「伊織くんのお姫様とは……上手いこというなあ」


――――あの子は、シンデレラじゃないわ。


「伊織くんは外でもあの子を溺愛してるのかい?」


――――白雪姫よ、白雪姫。


「よほど可愛いのだろうな」


――――これからいくらでもシンデレラになれるんだもの。


「自分の妹が」




――――なにそれ




「――――百瀬ッ!!」



あたしは部屋に入るなり、ブルーのドレスを引きちぎった。


……物足りない、こんなんじゃあ。

メイドが裁縫用にしている大ハサミで切り刻む。




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