エンビィ 【完】




化粧台の手をついて、鏡の自分を睨みつける。


どうやったって……あの美貌には敵わない。

それほどまでにあの2人は――――引力で人の目線を奪う。




化粧台に置かれた、たくさんの化粧品。


それを一つ残らず薙ぎ払った。


それでも……先ほどの父の言葉が、耳にこびりついて離れない。



――――冗談じゃない。



すごい音をたてて、ビンが割れる音がした。

こんなふうにあの顔をめちゃくちゃにできたら―――…




床には、青の布きれが詰まったビンだけが、

割れずに転がっていた。




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