エンビィ 【完】
―――橙のドレス―――
「どうして今まで、パーティに顔を出してなかったんです?」
「バーティって苦手なんですの」
「勿体ないわ」
「全く顔を出してないわけでもなくってよ」
「まあ!どちらのパーティに参加したことがあるんですか!?一度もお見かけしてないわ!」
あの船上パーティで、一匹の毛色の違う猫が迷い込んだ。
生粋のお嬢様連中は、裏で、その毛色の違う猫を散々貶めていたというのに、その毛色の違う猫が、野良猫じゃなくて血統書付の猫だと知ると、瞬く間に手のひらを返した。
その身の変わりようは、傍から見ていて、
反吐がでるほど笑える。
あれから4ヶ月経ち、
季節は秋に移り変わったというのに、あの女に対するあたしの心情に移り変わりはない。
お嬢様の中のお嬢様という立場に君臨しているあの女に、屈辱を味わって欲しい。
いまのあたしには、それだけ。