エンビィ 【完】
伊織が元々パーティに乗り気じゃなかったことを考えれば……ありうる…。
それじゃあ、
このパーティに呼んだ意味がないじゃない。
あたしは内心焦りつつ、壁にそって歩き、2人の後を追った。そんなに時差をなく会場の外に出たはずなのに、2人の影も形もない。
ロビーまで見に行ったが、どこにもいない。
仕方なく、会場に戻る階段を上る。
まるで飼っていた鳥に、鳥籠から逃げられた気分だわ。
ただちょっと違うのが、
その鳥に愛着があるかないかだけの話。だから、食用に飼っていた鳥を一生懸命肥やしてしたのに、食べる直前で逃げられたという表現のほうが合っている。
「本当に―――様って、素敵だわ!」
数名の話声がこだましていて、
それは上るにつれハッキリ聞き取れた。