エンビィ 【完】
「あたしの、邪魔したの?」
「ピアノを取りかえてもらいました」
「なんでそんなことすんのよっ!!」
あたしは百瀬に感情のまま突進していた。
そのせいでドアに背中をぶつけた音がして、少し呻き声が聞こえたけど、あたしはそれどころじゃなかった。
まさか百瀬に邪魔されるなんて…。
裏切られた。
「玲奈様。わざとユキノ様に恥をかかせるマネは、如何なものかと」
「あたしに口ごたえ―――」
いつもの言葉が続かない。
百瀬が痛いほどに、手首を握りしめてきたから。
「…離し、」
「玲奈様」
「…っ…」
「俺は、あなたに口ごたえする権利があります」
「はぁ…?」
「あなたが間違った道に進むのなら、止めなくてはなりません」
「あんたはっ……これからもあたしの邪魔するっての!?」
「はい」