エンビィ 【完】
百瀬は、これまで見たことがない色の瞳で、あたしを諭そうとしている。これでさえも屈辱だと思うあたしは、ねじ曲がっているだろうか―――。
「俺の主は、玲奈様じゃない。あくまでこの家の主である社長です」
「……だ、から?」
「これ以上ユキノ様にちょっかいを出せば、社長に迷惑がかかります」
「…………」
「どうか伊織様を甘くみないで下さい」
「…どういう意味?」
「排除者への手段は選ばないかたですから」
………百瀬のくせにっ…。
念を押すようにさらに加えられた力に、表情が歪んだ。