エンビィ 【完】




百瀬は、これまで見たことがない色の瞳で、あたしを諭そうとしている。これでさえも屈辱だと思うあたしは、ねじ曲がっているだろうか―――。




「俺の主は、玲奈様じゃない。あくまでこの家の主である社長です」


「……だ、から?」


「これ以上ユキノ様にちょっかいを出せば、社長に迷惑がかかります」


「…………」


「どうか伊織様を甘くみないで下さい」


「…どういう意味?」


「排除者への手段は選ばないかたですから」




………百瀬のくせにっ…。

念を押すようにさらに加えられた力に、表情が歪んだ。





< 64 / 195 >

この作品をシェア

pagetop