エンビィ 【完】
「玲奈、それはどうした?」
翌々日まで長引いた手首の痛みに、これ見よがしに真っ白な包帯を巻きつけてやった。
「……野良ネコに…引っかかれただけ…」
「医者に診せたか?」
「大したことないわ」
「酷いようなら診せなさい。傷が残ったら嫌だろう?」
食事中の会話。
ここに百瀬がいないのが、残念。
「玲奈様……口に合いませんでしたか?」
「で、でしたらいまから―――」
「結構よ。食欲がないだけだから」
大げさな包帯を巻いたところで、気が収まるものでもない。
それは、あたしがあたしなりに落ち込んでいたから。
だって、あの百瀬が……あたしに反抗したんだ。